交通事故で被害に遭い、怪我をした方。
相手方の保険会社から通院に関する連絡があったかと思う。
仕事や子育てでなかなか通院時間が取れず、そのままフェードアウトしてしまいがち。
私は、交通事故で右足の中足骨にヒビが入り、骨折治療として通院せざるを得なかったが、ムチウチや打撲程度の怪我では通院するべきなのか迷う方も少なくないだろう。
骨折した方でも、骨が治ってしまえば、多少痛みがあっても通院せずに放置してしまう方もいる。
でも、私は自分自身の経験から伝えたい。
痛みや違和感が残っているうちはできるだけ通院をやめないで。
その理由を説明していく。
Contents
通院を続けるべき3つの理由
通院を続けることをお勧めする背景には大きく3つの理由がある。
- 週2回通院しないと通ったことにならない
- 痛みがあることの証明は難しい
- 後から痛みが出ても因果関係がないとされてしまう
順番に解説していこう。
① 週2回通院しないと通ったことにならない
交通事故で怪我をして通院した場合、示談の際に「通院慰謝料」というものを受け取ることができる。
その慰謝料算出には、通院日数もしくは総通院期間が用いられるのだ。
通院慰謝料の計算方法は基準によって異なるが、任意保険基準または自賠責保険基準では、総通院期間が使われる。
総通院期間とは、簡単に言うと怪我をしてから治るまでに何ヶ月間通院したかということ。
私の場合、骨折して癒合までに約3ヶ月、その後痛みの治療で約4ヶ月の合計7ヶ月間通院した。その場合、通院慰謝料は任意保険基準では70.6万円となる。
この通院期間としてみなしてもらうためには、週何回通えばいいのか?
ずばり最低でも週2回。できれば、週3回通うのが望ましい。
週1回程度の通院では定期的に通院していたとみなしてもらえず、慰謝料が減額されたりもしくは全くもらえなくなってしまう可能性すらある。
② 痛みがあることの証明は難しい
怪我をすると当然痛みがあるはずだ。
もし、何ヶ月も何年も治療してもその痛みが消えなかったら、どうですか?
痛みが消えなかった場合、交通事故示談の際には「後遺障害申請」というものがあり、痛みの後遺障害として賠償してもらう手段がある。
後遺障害は、骨折せずともムチウチ等でも残る場合がある。
後遺障害申請をする際に必要になってくるのが、「痛みがあることの証明」だ。
しかし、痛みというのは感じ方に個人差がある。
痛みが強いのか、弱いのか、人によって感覚は様々だ。
そんな主観的要素を多く持つ事柄にたいして、「痛みがある」ということを証明するのは非常に難しい。
慰謝料目当てで痛いフリをする輩がいないとも限らないので、保険会社の審査はかなり厳しいのだ。
MRIで神経圧迫の所見が明らかにあるなど、医学的に証明が簡単なケースを除いて、痛みがあることの証明は本人の申し出ベース。
そういった状況で痛みがあることを証明してくれるのが「病院のカルテ」だ。
定期的に通院し、診察の際に主治医に「足のここが痛い」ということを伝えると、主治医はカルテに記録し、それに対して治療をしてくれる。その通院の記録こそ、継続して痛みがあったことの裏付けになる。
保険会社は後遺障害の審査の際には、病院からカルテ等を取り寄せ、痛みに関して継続的に訴えがあったかどうかチェックする。
怪我から間もない時点では、痛みが残るのかどうか、後遺障害が残るのかどうか、とても判断できる状況ではない。
少しでも痛みや違和感があったら、その都度主治医に伝えておくのが大事。
③ 後から痛くなっても因果関係がないとされてしまう
交通事故でありがちなのが、こんな例だ。
- 事故当日や翌日はなんともなかったのに3日後に突然首が痛くなった!
- 軽い打撲だと思って通院せずにいたが、後から痛みが気になって検査したら実は靭帯が切れていた!
- 骨折直後は通院していたけど治ったと思って通院をやめたらやっぱり痛くなってきた
こういったケースでは、通院していなかった期間があることになる。
厄介なのは、通院をしていなかったということはその期間は何ともなかったとみなされる。
その後、通院を再開したとしても、「それって交通事故が原因じゃなくて、自分で何かやったんじゃないの?」と思われてしまう。交通事故が原因じゃないなら、賠償の対象外になってしまうのだ。
風邪などの場合は自己責任で済むが、交通事故の場合は後の賠償金額に大きく影響する。
賠償のとき、治療の空白期間は圧倒的に不利にはたらく。
自己判断で通院をやめないでください!
通院は苦痛だけど乗り越えよう
通院は大変。
仕事をしていたり、小さな子どもがいたら余計に、時間をとることは難しい。
整形外科って年配の方で混んでいるし。
でも、正当な賠償を受けるためにがんばってほしい。
病院に空いている時間を聞いたり、時には子連れで行ったり、うまく時間をやりくりして通おう。
万が一治りきらなくても、正当な賠償が受けられますように。