後遺障害申請をすると決め、弁護士に依頼することを決心した私。
そして、症状固定日を迎えた。
後遺障害申請をする場合は「後遺障害診断書」を書いてもらう必要があるね。
「後遺障害診断書」の書き方、書いてもらうコツを説明していこう。
Contents
症状固定日とは
症状固定日は、「完治した日」もしくは「治療を続けてきたがこれ以降は症状が改善していくとは見込めない日」と医師が判断する。
医師が判断すると言っても、実際には保険会社の裁量も大きい。
というとも、治療開始から一定の期間が過ぎると、保険会社から「治療費支払いの打ち切り」の連絡がある。
私のところにも、症状固定日の2週間ほど前に保険会社から以下のような連絡が入った。
以前病院様に医療照会させていただいたところ、主治医の先生より8月末頃までの治療計画と回答がございました。つきましてはそろそろその時期になりますので、治療費のお支払いに関しては今月を持ちまして終了とさせていただく予定となっております。
症状固定の日程について、次回診察の際に主治医の先生にご確認いただけますでしょうか。
なお、保険会社に言われたといっても、医師の判断で症状固定日を後ろ倒しすることもできなくはない。
しかし、「治療費の支払い打ち切り」については保険会社の独断で時期を決めることができる。
医師が症状固定日を延長したとしても、保険会社のタイミングで治療費は打ち切られてしまう。その場合、打ち切り後の治療費は一旦自費で負担し、症状固定後に保険会社に請求することとなる。
この治療費、保険適用なら3割負担のところ、自由診療の10割~20割負担(自由診療は20割にしている医院が多い)の金額を自分で払う必要がある。つまり、いくら建て替えとはいえ、通院が続くと金額がかさむ。
医師はこの事情を知っているので、治療費の支払い打ち切りタイミングを症状固定日とするケースが多いようだ。
私の主治医も、保険会社から上述のような連絡があった旨伝えると、
と言っていた。
DMK136の法則
症状固定日を決める目安がある。
打撲・むちうち・骨折を略してDMK。
打撲なら1ヶ月、むちうちなら3ヶ月、骨折なら6ヶ月が、怪我から症状固定までの目安の期間と言われている。
DMK136の法則から言っても、妥当な期間だったみたい。
症状固定日に後遺障害診断書の作成を依頼
症状固定日は、治療の一区切りの日。
自覚症状の伝達
後遺障害診断書には「自覚症状」を書く欄がある。

この欄は非常に重要。
なぜなら、自分の意志で伝えられる唯一の項目だからだ。
また、自覚症状欄に記載があるものが後遺障害審査のテーブルに上げられる。
他覚所見があっても、ここに当該部位の「痛み」や「機能障害」に関する記載がないと、自覚症状がないものと判断され、審査の対象にしてもらえないことがあるのだ。
どのように書くかは医師次第ではあるが、書いてほしいことはしっかりと伝えておこう!
「自覚症状」欄の重要性
- ここに記載された内容が、後遺障害審査の対象となる。
- 自分で訴えられる唯一の項目である。
気になっている「自覚症状」は漏れなく、医師に伝えよう!

レントゲン撮影
画像データは、癒合不全などがあれば重要な他覚所見になる場合がある。
後遺障害診断書にも高く所見を記載する欄がある。

後遺障害診断書には、事故直後から症状固定までに撮影した全てのレントゲン写真を添付する。MRIやCTも撮ったなら、それも一緒に添付する。
症状固定日のレントゲン写真ももちろん必要だ。
可動域の測定
可動域制限がある場合は、各関節の可動域を計測し、後遺障害診断書に記載してもらう。

私の場合、後遺障害認定の見込みは低そうではあるが、足指は曲がりにくくなっているので測定してもらう。
左右の自動値・他動値をそれぞれ測るので、1つの関節につき4回計測することになる。
時間がかるけど、重要な作業だね!
後遺障害診断書のポイント5つ
私はすでに今回の後遺障害申請を弁護士に依頼済みだったので、弁護士から預かった「注意事項」のお手紙を主治医を渡す。
これはおそらく企業秘密的な部分があるので丸々公開はできないが、要点をまとめてみる。
①痛みについては端的に表現する。
具体的に書きすぎないこと。「左足の痛み」程度でよい。
痛みについては主観的な部分も多いので、端的にシンプルに痛みがあることだけを表現すればよい。
②画像初見は細かく書く
微細なものでも所見がある場合は書いてもらう。
医師の視点ではあまり気にならない部分でも、実は痛み等の原因になっていて重要な医証となる場合がある。
③可動域制限は左右とも実測する
怪我をしていない側を測定しない医師もいるらしい。
医学会が一般的な人の「標準値」があるからそれを使えばいいと思っていることがあるのだとか。
でも、もともとの可動域は人によって異なるので、患側(怪我した方)と健側(怪我していない方)の両方を実測する必要がある。
不利にならないように、きちんと測定してもらおう。
④症状が軽減する可能性は書かない
後遺障害診断書の最後の項目に「今後の障害内容の増悪・緩解の見通しなど」の欄がある。

ここも重要で、「年月とともに緩解していく可能性あり」などと書いてしまうと後遺障害は認定されない。
「今後も治ることはない」ニュアンスで書いてもらわないといけない。
⑤医師の診断を尊重する
こう書いて、ああ書いて、と注文ばかりすると、医師からしてもいい気はしないだろう。
あくまでも医師の診断は尊重し、「審査の都合上、一部の表現だけ気をつけてほしい。」ということを伝える。
後遺障害申請は、基本的に全てが書類審査。
後遺障害診断書に書かれたほんの一言の表現が、認定・不認定の結果を左右することもあり得る。
表現の仕方だけうまく調整してもらうニュアンスが重要だね。
お世話になった病院に感謝を伝えよう
後遺障害診断書の作成とは直接的には関係がないが、私的に忘れてはならないのが、長い期間お世話になった病院の方々に感謝を伝えること。
骨折して痛みと不安を抱えて初診に訪れた日を振り返ると涙が出る。
7ヶ月間、通い詰めた場所だし、医療の現場の方には失礼な表現かもしれないが、家族のような安心感を覚えていた。
治療をしてくれた医師の先生、スタッフの方々、本当にありがとうございました。
手紙を書いてちょっとした菓子折とともに受付のお姉さんに渡した。
翌週以降も診断書の受け取りもあるし、痛みのためのリハビリ通院にも自費で来るつもりだから、全然最後じゃないんだけど、一応一区切りなんで。
私の後遺障害診断書、実物公開
そして、出来上がった後遺障害診断書がこちら。
これが私が実際に提出した実物だ。

医師も私の依頼に従って丁寧に書いてくれたと思う。
あとはこれを弁護士に送って、後遺障害申請の被害者請求をお願いするだけだ!