PCOSつまり多嚢胞性卵巣松症候群。
不妊治療中の方の中にもPCOSの方は少なくない。私もPCOSと診断された。
私は排卵誘発剤の服用で無事に妊娠に至ることができたが、クロミッドは効かず、フェマーラを服用した周期に妊娠した。

という疑問を徹底的に検証していく。
Contents
クロミッドとフェマーラの違い
同じ排卵誘発剤という役割をもつクロミッドとフェマーラ、何がちがうのか比べてみよう。
クロミッド | フェマーラ | |
薬価(10割負担時) | 約100円 | 約140円 |
保険適用(排卵誘発剤として) | ○ | × |
作用機序 | エストロゲン拮抗作用 エストロゲン受容体をブロックすることで、エストロゲンのネガティブフィードバックを起こし、FSHを上昇させ、卵胞発育を促す |
アロマターゼ阻害作用 アンドロゲンからエストロゲンへ変換を阻害する作用 ①エストロゲンの一時的低下によりFSH上昇 ②アンドロゲン増加に伴うFSH受容体増加 により卵胞発育を促す |
血中半減期 | 5~7日 | 2~3日 |
メリット | 保険適用でき、安価 | 血中半減期が短く、排卵期に薬の作用が残らない |
デメリット | 頸管粘液の減少、子宮内膜の菲薄が起こる可能性があるため、長期間連続使用ができない | 保険適応外なので高くかかる |
クロミッドでは長期間使用することで、頸管粘液の減少や子宮内膜の菲薄が発生してしまうことがある。妊娠したくて治療しているはずが、妊娠率を下げる方向に行ってしまう!?
一方、フェマーラの方は頸管粘液や子宮内膜への影響が出ないとされており、不妊治療をする上でかなり重要なポイントだ。
日本ではフェマーラは乳がんの治療に使われる薬というのが一般的で、排卵誘発剤として保険適用はされない。
そのため、フェマーラを使用する場合は保険適用外の10割負担になる。
だから、不妊治療の場面では「まずは、クロミッド」という選択をする医師が多い。
PCOS患者妊娠率の違いは?クロミッドvsフェマーラ
2つの排卵誘発剤で、妊娠率に違いはあるのだろうか?
まさにその研究をおこなった論文はたくさんある。
最近のものを調べてみた。
有意差が証明されたものはなし
2018年の論文
PCOSと診断された136人の女性を2つのグループに分ける。
クロミッドを使ったグループ、フェマーラを使ったグループに分け、排卵〜妊娠〜出産までたどり着いた人数を比べた実験だ。
クロミッド | フェマーラ | p値 | |
調査件数 | n=68 | n=68 | |
排卵件数(率) | 51 (75.0%) | 59 (86.8%) | 0.09 |
妊娠件数(率) | 17 (25.0%) | 27 (39.7%) | 0.12 |
出生件数(率) | 12 (17.6%) | 20 (29.4%) | 0.11 |
Medicine 2018年11月 Hui-juan Guangら「Letrozole for patients with polycystic ovary syndrome a retrospective study 」より
比べてみると、排卵率、妊娠率、出生率、どれをとってもフェマーラの方が高い!!
じゃあフェマーラの方が効くっていうことじゃないと思いきや、それはちがう。
統計的にその差が証明されたわけではなかった。
統計的には、フェマーラの方が良い数字が出たのは「たまたま」かもしれない可能性があるとされてしまったのだ。それが右端の列のp値で示されている。
p値とは?
統計的な有意差を判断する際に用いられる指標。
p値が大きいと、2つのグループの差は「たまたま」かもしれないと考えられる。
p値が小さいと2つのグループの差は「たまたま」ではなく「統計的に有意」「統計的に差がある」と言えるようになってくる。
p値<0.05が目安の一つだ。
2016年の論文
調査の手法は少々ちがうようだけど、PCOS患者を同様にクロミッドとフェマーラのグループに分けて一定期間で妊娠率に差が出るかを調査した論文もあった。
クロミッド | フェマーラ | p値 | |
調査件数 | n=51 | n=50 | |
妊娠件数(率) | 24 (47%) | 29 (58%) | 0.50 |
Medicine 2016年1月 Ataollah Ghahiriら「Letrozole as the first-line treatment of infertile women with poly cystic ovarian syndrome (PCOS) compared with clomiphene citrate: A clinical trial 」より
結果はこちらもフェマーラの方が高い!!
でも、こちらの統計的に「フェマーラの方が有効」と証明はできなかった。
フェマーラの方が効くのでは??
医学的な証明はまだできていない
PCOS患者を対象にクロミッドとフェマーラを比較して試す論文はほかにも見つかった。
でも、統計的に有意な差が証明された論文は見つけられなかった。
だから、今の時点では以下のように言わざるを得ない。
- クロミッドもフェマーラもどちらもPCOSに効果あり
- クロミッドとフェマーラの効果に差はない
これが今の医学界の認識だ。
個人的にはフェマーラ優勢の所感あり
ここからは私個人の考えだ。
統計的に有意差がないのは置いといて、どの論文もフェマーラの方がいい数字が出てるじゃん!!!と感じた。
実際、不妊治療経験の豊富な医師の中には、PCOS患者にはクロミッドよりもフェマーラを先に処方する先生もいる。それは過去の実績から「PCOSにはフェマーラ」という経験則が生まれたからなのではないか?と推察できる。
こういう「人間」を使った調査は、試験管の実験や動物実験とも違い、調査できる件数が非常に少なく、人同士の個人差も大きいのでなかなか有意な差を証明することは難しい。
特に、妊娠〜出産にまつわるテーマともなれば、調査には年単位の期間がかかることにあり、なかなかサンプル数が確保できない。
だから、結果が証明にくいのだ。
でも、論文の調査結果を詳しくみると、妊娠率はフェマーラグループの方が高く出ているものが多く、「やっぱりPCOSにはフェマーラの方が効く」と思わざるを得ない。
PCOS、そして不妊治療に関して、もっともっと研究と治療方法の開発が進むことを願っている。
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